バンドネオン協奏曲について語る![メディア情報]

るんるんアストル・ピアソラ作曲の「バンドネオン協奏曲」について、僕なりにいろいろ語ってみようかと思います。


何故なら、これ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓がオンエアされるからです!


黒ハート2月2日(日)あさ9時〜

テレビ朝日「題名のない音楽会」

アストル・ピアソラ「バンドネオン協奏曲」全曲
指揮:佐渡裕
バンドネオン:小松亮太
日本フィルハーモニー交響楽団
【再放送】BS朝日
★2月8日(土)17:30〜
★2月9日(日)11:00〜

佐渡さんが明確な音楽的ビジョンを持つ指揮者なのは当然ですけど、それにしても実際にご一緒して「さすがだなあ…」と改めて思いましたね。「このバンドネオン協奏曲をどんな風にやるのか」という意思を、ここまで徹底してリハーサルする方は僕は初めてでした。

この曲は1979年頃に書かれた曲で、「協奏曲」というクラシック音楽の用語が使われている通り、一応3楽章構成で出来てはいるんですが、実は構成は結構単純というか…クラシックの構成にまあまあ近づいたポピュラーミュージック、というのが正確なところじゃないかと思います。


ピアソラはタンゴとクラシック、タンゴとジャズ、あるいはタンゴとロック、ポップスの融合をいつもいつも考えている人だったわけですが、この人が作った曲で、本当にクラシック的な形式で書かれているのは、1940年〜50年代前半の修業時代に集中していて、70年代以降だと「クラシックに本気で憧れているポピュラー畑の人が書いた曲」みたいな趣になってますね。


それが一番顕著なのはバンドネオンパートで、クラシック音楽の世界でよく言われる「書いてある音符の通りに弾く」という概念ではほとんどどうにもならない譜面なんです。


つまり書いてある音符をガイドにしながら、バンドネオン弾きが「即興的に変えて弾く」「あらかじめ好きなようにアレンジして弾く」ということが前提になっている譜面。逆の言い方をすれば「書いてあるままに弾いてるだけでは格好がつかない」譜面なんです。


これはピアソラだけでなく、あらゆるタンゴの作曲家やアレンジャーが採る手法ですね。わざと超単純に、そのまま弾くだけでは格好がつかないように書いておくことで、プレーヤーの自主的な即興やアレンジ意欲を誘発しようという…。


そもそもポピュラーミュージックでの「アドリブ」や「フェイク」あるいは「フィル」というものは、クラシック的に譜面に書こうとしても書ききれないし、書き出したら切りがないですからね。


例えばピアソラが自分でこの曲を弾いてる録音を、いくつかのバージョンを揃えて聴き比べてみてください。ひとりのバンドネオン奏者の場合に限ってみても、細かい部分は日によって全然違う音を弾いてるのがわかると思います。ちなみにその「違い」は、どこからどこまでがその場で閃いた「即興(アドリブ)」なのか、どこからどこまでがあらかじめ考えた「アレンジ(またはフェイク)」なのか、という判別は、プロの演奏者同士でもほとんどわかりません。


ピアソラにしろ、ピアソラ以外の作曲家のタンゴにしろ、フェイクされたりアレンジされたり、アドリブが加わることが前提のはずの譜面を、タンゴのスキルを持たない人が「そのまま」弾いてしまうことによって奇妙なものが出来上がってしまう、というパターンは決して少なくないわけです。


敢えて退屈なガイドラインしか書いていないタンゴの譜面にどんなアドリブ、フェイク、あるいはアレンジを加えて面白味を出すか。そのセンスとスキルを磨くには、古典タンゴを(先輩に怒られながら)たくさん聴いて、見て、弾いて経験するしかありません。ピアソラばかり弾いていてもタンゴそのもののスキルはあまり身につかないものなんですよ、不思議なことに!


ところが、ピアソラの曲によってタンゴの洗礼を受けたミュージシャンの中で、古典タンゴの奥深さにも気づける人はごくひと握り、というジレンマが、ブエノスアイレス以外のタンゴ世界が抱えている大問題なわけですよね。


真実を言ってしまえば、古典的なタンゴとピアソラのタンゴは、物理的に、技術的に、切り離せるはずがありません。この動かし難い真実に世界中のタンゴビギナーたちが気づかない限り、タンゴ・ミュージシャンのレベルアップは不可能です。「ピアソラは素晴らしいけど古典タンゴは所詮ダンスの伴奏だからどうでもいい」という誤解は世界中に定着し始めてけれど…


というわけで「バンドネオン協奏曲」は、オーケストラにはタンゴ演奏のスキルは無くていい。そのかわりタンゴ的エッセンスはひたすらバンドネオンが請け負って頑張らなきゃならない。


多分ピアソラは、どこの国に行っても自分がバンドネオンパートを弾きさえすれば、ほぼ理想的な演奏を可能にするレパートリーを作りたかったんだと思います。たとえタンゴ・ミュージシャンが一人もいない国に単身で行ったとしても、現地のクラシックのオーケストラが譜面の通り演奏してくれれば、タンゴ的エッセンスは自分自身のバンドネオンでカバーすればいい、というわけですね。メンバー全員がタンゴ・ミュージシャンでないと演奏しづらいレパートリーをそのまま外国に持って行って、右も左もわからないミュージシャンと演奏するのは無理がありますからね。


ちなみに小松が「バンドネオン協奏曲」を弾く場合、バンドネオンの巨星レオポルド・フェデリコ氏の演奏をかなり参考にしていることを告白しておきます。フェデリコさんの、ナチュラルなまんまスペシャルな演奏が僕は一番好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=LdAt7i8ctm0
これはバンドネオン協奏曲を、たった4人で演奏しようという企画のアルバムで、少人数の利点を生かしてフェデリコさんの天才ぶりが光ります。

………………………………………………………………………………
というわけでお知らせです。

黒ハート2/16(日)14時〜
ハッピー・タンゴ・アワー さいたま市文化センター 大ホール
◆出演 須川展也Sax、奥村愛Vn、田中伸司Cb、松永裕平Pf
◆S席:3,500円  A席:3,000円 B席:2,500円(全席指定)
◆問合せ先:SaCLa(サクラ)インフォメーションセンター 048−866−4600(火〜土/9時〜17時)
http://www.saitama-culture.jp/d


るんるん2/23(日)小松亮太 with Special Guest 大貫妙子
会場:ビルボードライブ東京
1stステージ開場15:30 開演16:30
2ndステージ開場18:30 開演19:30
小松亮太 (バンドネオン)近藤久美子 (ヴァイオリン)鈴木厚志 (ピアノ)天野清継(ギター)田中伸司 (コントラバス)ゲスト:大貫妙子
お問い合わせ:ビルボードライブ東京 03-3405-1133
http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=8833&shop=1


ビール3/9(日)北とぴあ
高嶋ちさ子12人のヴァイオリニストwith小松亮太
【出演】高嶋ちさ子アンサンブル、高嶋ちさ子12人のヴァイオリニスト
スペシャルゲスト:小松亮太
【会場】北とぴあ さくらホール
開演16:00 開場15:30

心よりお待ちしております!
2014-01-25 01:22 この記事だけ表示 |コメント 2 |トラックバック 0
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小松さん、沖縄にも来てくださーい!待ってます〜☆
ヤッシー(2014-01-26 23:09)
バンドネオン協奏曲はたくさん聴いたと思いますが、バンドネオンのアドリブ、フェイクの違いには気が付かなかったですね。亮太さんの演奏もそのたびに少しずつ違っていたということですね。まだまだだなあ〜。
柊子(2014-01-30 10:55)