
やっと完成。1950年のアニバル・トロイロ(バンドネオン奏者)楽団がやってた「チケ(Chique)」という曲の耳コピのスコア書いてました。アルゼンチンのオルケスタ・エスクエラ・デル・タンゴ(タンゴスクールオーケストラ)からの依頼です。春の結成10周年の記念コンサートでやるらしいです。
1920年にブリニョーロというバンドネオン奏者が作曲した曲なんですけど、アレンジは若かりし頃のピアソラ。
音符をひとつひとつ聴き起こして復元するのは本当に楽しい。特にこのアレンジはピアソラが書いた当時としてはかなりユニークな音を、トロイロがごく普通のアレンジに引き戻した(書き直しさせた)形跡がいろいろ見られて面白い。
ちょっとコード進行が「普通過ぎ」やしないかと思うところもあるけど、最後に出てくるトロイロのソロを味わったらそんな事は問題じゃない。
割り切れない、解析不能な演奏なんだよね。音符に変換するのがとても難しい。どういうつもりで弾けばこんなフレージングになるんだろう…。
多分トロイロは、この人間力を前面に出したいがために創意工夫は最小限に抑えたシンプルなアレンジを求めた…と僕には感じられるんだけど。

たとえばジャズの評論家さんなんかにトロイロのパフォーマンスの凄さっていうのを言葉で表現してみて欲しいなあと思いますね。ピアソラとその後っていう話をする前にピアソラ以前の音をもっと異ジャンルの人に語ってもらわなきゃだめなんだよ。いきなりピアソラだけ聴いてバホフォンド聴いて終わりっていうのは悲しすぎる。
そんなわけで4月は小松亮太オルケスタバージョンの「ラ・クンパルシータ」がNHK名曲アルバムでオンエアです。くわしくはこちら。
http://www.nhk.or.jp/meikyoku/